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エフティシア

Latest Fashion Brand Profiles Vol.2

ブランドの背景、作り手の想い
時代をリードする理由

2019.02.22 fashion

南青山のセレクトショップ「アデライデ」に足を運ぶと、
スタイリッシュに並ぶフレッシュなブランドたちにいつも心踊らされる。
ただあたらしいだけじゃなく、時代のムードを代弁し、未来に迎え入れられた洋服たち。
ビッグメゾンでキャリアを積んだ後の独立や、
確固たるビジョンを持ってインディペンデントに展開していたりなど。
出自を知ればそのブランドがますます好きになる。
エフティシアはデザイナー本人のコメントもお届け!
(Vol.1はこちら:https://perk-mag.com/latest-fashion-brand-profiles/

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EFTYCHIA(エフティシア)

Designer – Eftychia Karamolegkou

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確かなテーラリング技術からスーツスタイルの本質を問う

2018年AWにロンドンでスタートしたばかりのエフティシアは、デザイナー自身がアントワープ王立芸術アカデミーやセントラル・セント・マーチンズ(以下CSM)で学んだ伝統的なメンズウェアのテーラリング技術をウィメンズファッションへと転換し、自立した女性のためのスーツスタイルにこだわる硬派なブランドである。彼女はスーツを大衆的なものであると捉え、社会的地位やバックグラウンドにある経歴や財力を象徴するものではないと考える。自分が何者であるかを他人に証明するために着るような必要のない、もっと自由に、リラックスした気分で着られるものであるはずだと。「The Suddenly Visible Sex(不意に可視化される性)」と題した今季コレクションもまた、彼女のそうした考えのもとでクラシックな定番のビジネスユニフォームが現代女性のためにアップデートされている。エフティシアのシグネチャーカラーでもあるブラウンは、特にその色合いが美しい。

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従来のヒートプレスプリーツをシームに置き換えることで、より美しいシルエットに進化させたパンツや、ジャケットから突き出すようなポインテッドカラーのシャツが印象的。

designer’s comment

忘れられたような古い洋服を探すことばかりしていました

「時々インスタグラムにポストしている祖父母のモノクロ写真は自分にとって大きなインスピレーション源で、わたしはあの写真たちを見つめながら育ったんです。同じく10代の頃は両親のクローゼットを覗いては、忘れられたような古い洋服を探すことばかりしていました。そんなある日、父親が1970年代に着ていたダークブルーのベルベット地のスーツを見つけたわたしはそれを仕立て屋に持って行き、自分の体型に合うようにリサイズしてもらったことがあって、今思えばそれがテーラリングに興味を持ったきっかけになったのだと思います。その後ファッションの道へと進み、アントワープ王立芸術アカデミーやCSMでの勉強の中で、一見制限的に感じられたテーラリングの世界が実はそのルールを知ることで無限の広がりを持つことを学び、より深い興味を持っていきました。その頃に学んだわたしなりの衣装構造へのアプローチの方法は今も根底にあります」。

 

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Y/PROJECT(ワイ プロジェクト)

Designer – Glenn Martens

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広範なインスピレーション源をユニセックスウェアへと昇華

ブランド創設者であるヨハン・セルファティの死去に伴い2013年、ベルギー出身のグレン・マーティンスが後任デザイナーへと就任したところから現在のワイ プロジェクトの歴史ははじまった。あらゆるサブカルチャーや時代背景をインスピレーション源として洋服に落とし込み続けているグレンだが、彼の最大の強みはメンズ/レディースそれぞれのファッションを、素材も含めて融合させるその巧みさにある。今年1月にフィレンツェ(イタリア)で行われたメンズファッションの見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ」で発表された2019年秋冬のメンズコレクションにおいても女性モデルを多数起用するなど、独自のユニセックス路線を追求して高い評価を得た。

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随所に目を引くキーカラーを取り入れながら、既存のピースを再構築するデザインセンスは今季も健在。蛇腹のデザインがユニークなアコーディオン型ミニバッグも人気が出そう。

 

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RAF SIMONS(ラフ シモンズ)

Designer – Raf Simons

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ニューウェーブを基調にパンクへのオマージュも表現

ストリートスタイル/スポーツカジュアル一辺倒となっていたファッションシーン全体のムードに一石を投じるかのように、テーラードスタイルの復権を示した今季のラフシモンズ。1970〜80年代のニューウェーブカルチャーに着想を得て構築されたというコレクションは、サテン素材が多用され、カラーリングもヴィヴィッドなグリーンやピンク、ゴールドなどが大胆に使用されていた。52ページで紹介しているコートも、一見ベーシックかと思いきや、カラフルなスカーフが一体化(胸もとのポケットに収納可能)されているというこだわりぶり。安全ピンやスタッズといったアクの強いパンキッシュなアクセもリリースされているので、ぜひチェックしてみてほしい。

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メンズコレクションとして発表はされているが、その人気は男女問わず。コンスタントにリリースされるオーバーサイズのニットをはじめ、空き缶モチーフのアクセなども秀逸。

 

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VETEMENTS(ヴェトモン)

Designer – Demna Gvasalia

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デムナの半生、内面から滲み出た「家族と戦争」

極端でキャッチーなデザインが多いことから商業的でSNSフレンドリーであると揶揄されることの多いヴェトモンだが、その本質がもっと別のところにあることを改めて提示されたシーズンである。テーマはずばり「家族と戦争」。難民問題に揺れるヨーロッパ、そして幼い頃に故郷ジョージアで戦争を経験したデザイナーのデムナ・ヴァザリアにとって、これ以上ないほどにシリアスな問題をファッションで表現するということ。その難題を、ショーを歩いたモデルのほとんど(40名以上)をジョージアから連れてくるという離れ業や、実の祖母が愛用していたという肩パッドにデザインの着想を得るなど、極限までパーソナルに向き合うことで見事に表現した。
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極端に大きなジャケットや、刑務所の受刑者たちが入れるロシアンスタイルのタトゥをプリントしたシアーシャツ、グルジア語のパーカなど。そのすべてがデムナの半生と繋がる。