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Interview with Mariko Kakizaki
from PERK No.31 issue

ダンサー柿崎麻莉子はなぜ
わたしたちを魅了するのか?

2019.05.09 interview

コンテンポラリーダンサーとして世界中を回りながら、
その活躍の場はジャンルを越えて、
昨年はディオールのショーへも出演を果たした柿崎さん。
自らの身体、その表現力だけでわたしたちを魅了し続ける彼女の中から、
きっとインスピレーションが見つかるはず。

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ドレス¥1047,600、ボディトップ¥189,000、ブラ¥145,800 (すべてDior/クリスチャン ディオール)

 

体操からダンスへと、
探求の末に見つけた
自分の好きな身体表現

「お母さんが新体操の先生でクラブチームを持っていたから、小学3年生くらいから新体操をはじめました。最初は割と嫌々だったんですけど、うまく口車に乗せられちゃって(笑)。本格的にはじめたのは5年生くらい。出場していた大会で見た中国人の先生がきっかけで、その人は元中国代表選手で作風が『おもしろいな』って思って、そこからその人のクラブに行くようになりました。
幼少期から身体を動かすことに慣れ親しんできた柿崎 さん。しかし、次第にその興味はスポーツ競技としての新体操から、より感覚的なダンス表現へとシフトしていく。
「中学高校と新体操を一生懸命やっていたんですけど、『なんか違うなぁ』って思いはじめてしまって、そんな時お母さんに連れられて行ったシルヴィ・ギエムという、元新体操選手のバレリーナがやっていた『ボレロ』という踊りを観て、は じめてダンスに興味を持ちました。それで『新体操やーめた』と思って(笑)、大学はダンスで1番有名なところに進学したんですけど、それが全然面白くなかったんですよね。そもそも部活という組織が合わなかったみたいで。だから おもしろいダンスに会いたくてヨーロッパをいろいろ回ったり、ニューヨークに行ったりもしたけど、それでも全然見つけられなくて。がっかりしましたよ。『ダンスっておもしろくないのかな』って。おもしろいダンスに会いたくて仕方なかったから帰国した後も色々観に行っていて、そんな時にイスラエルから来日していた『バットシェバ』というチームの公演を観たんです。そこではじめて面白いと思えて、『わたし、このチームならダンスしても良いよ』って。偉そうですけど(笑)」。
自身が求めるダンスを模索した末に、柿崎さんはイスラエル出身の天才振付家オハッド・ナハリン率いる『バットシェバ』へと辿り着く。『ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス』として映画にもなった最高峰のカンパニーは彼女にどのように映ったのか。

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ドレス¥453,600、
中に着たジャンプスーツ¥226,800、ブラ¥145,800
(すべてDior/クリスチャン ディオール)

“次の公演の衣装をディオールが
作ってくれるみたいで、楽しみ!”

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「なんというか、ダンサーの在り方に惹かれたんですよね。ただ踊らされているんじゃなくて、ちゃんと触覚を持った生物が舞台を触っているような感じがしたというか、『この人たち、生きてるなぁ』って思えたんです。表現力と言うよりも、感覚の開き方、身体の情報の受け取り方、筋肉の収縮、それぞれにリズム感があるというか。みんなが同じ動きをする時でも、ダンサー1人1人が環境を受信しているような、そんな踊り方をしているように感じました。それで卒業論文を提出した次の日にイスラエルまでオーディションを受けに行ったんです。何週間も机に向かっていた後だったから『え、踊っていいの!?ヤバい!楽しい!』って喜んでたらいつの間にか受かってました(笑)準備期間なんかなくて、もういきなり仕事なんですよ」。
そこから3年間をバットシェバのメンバーとして過ごした後、オハッドとともに同カンパニーの振付を担当していたシャロン・エイヤールの独立に伴い、新カンパニー「LEV」へと移籍した柿崎さん。現在は多国籍な6人のチームとして世界中で公演を行なっている。バットシェバでの時代も含めて、異なる言語を話すメンバーたちと、いかにしてひとつのダンスを作り上げていくのだろうか。
「バットシェバの時は『ガガ』っていう、身体をトレーニングするメソッドがあって、チームとしてそれを毎日やることで世界中から集まった人たちの身体性を揃えていっていました。だから言葉が分からなくても、身体の動きを真似して、エネルギー量を見て、色合いを感じられれば踊れるんです。あとは“質感”。これは今いるLEVがすごく大事にしていることですけど、作品にはそれぞれに決まった時間の進み方があって、空間の温度も決まっていて。それを変えてはいけないんです。例えば包丁で野菜を切るとして、キュウリは『ちょんちょんちょん』って感じだけど、トマトは丸いから転がらないようにしないといけないでしょ?より身体を使うし、集中力の色合いも違うんです。高い建物の屋上に立つことを想像するとしても、それが『ビル』なのか『タワー』なのかによって違う。そうしたフックとなるものが“質感”だと思っていて、チームとしてそれがキープできていればその時間や温度の中ではどういう風に動いても作品が成立するんです」。
昨年のディオールのショーへの出演も大きな話題となったが、今年も音楽レーベルとのコラボレーションが控えているなど、LEVとして、ダンサー柿崎麻莉子として、ジャンルを越えた活躍はまだまだ続く。鍛え抜かれた美しい身体によ る表現が、身にまとう服にも、実体を持たない音楽にも、豊かなインスピレーションとなって感性を刺激してくれるのかも。
「昨年のディオールのショーもLEVとしてオファーを受けて、シャロンがすべて演出を手掛けたんです。わたしたちのカンパニーにはDJもいるから、音楽も自分たちで。慌ただしかったけど楽しかったですよ。モデルさんたちはいつもと勝手が違って大変そうだったけど(笑)。そこでいっしょに仕事をした関係で、わたしたちの次の公演の衣装をディオールが作ってくれるみたいで、楽しみ!それと、夏にはイギリスの『ヤング・タークス』っていう音楽レーベルといっしょに作品を作ることも決まっていて。こうやってファッションや音楽とコラボレーションができるのも、LEVのようなコンパクトで自由なチームにいられるからこそ。それが楽しいんですよね」。
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4月12、13日には東京・祖師ヶ谷大蔵のカフェ「ムリウイ」にてダンスとトークの発表会『個人と社会の境界としての身体 2019』を開催。LEVとして新作公演は今秋公開を予定しているとのこと。

 
MODEL_Mariko Kakizaki
PHOTO_Yusuke Yamatani
HAIR&MAKE_KATO

information

柿崎麻莉子

profile

1988、香。大踏団「バットシェバ」に入団、3年間のイスラエル生活を経て、現在はダンスカンパニー「LEV」のメンバーとして活躍している。

insta_ @marikokakizaki_