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Interview with Christina Paik
from PERK No.27 issue

話題の女性写真家が考える、服の自由

2018.08.22 art fashion interview magazine

NYとパリを股にかけ活躍する女性写真家
クリスティーナ・パクがライフワークにしている、
自らを被写体にハイブランドの洋服を身にまとうセルフポートレイト撮影。
ファッションと写真という切っても切れないその関係を、
彼女は大胆に、そして自由に更新し続けている。

ルイ・ヴィトンのメンズ・クリエイティブ ディレクターを務めるヴァージル・アブローも一目置き、ファッショニスタとしても注目を集める28歳の写真家クリスティーナ・パク。2011年から自身が被写体になり、シャッターを切ったプロジェクト“Self Portrait Series”を、これまで2度に渡って発表してきたが、その第3弾としてアメリカ、アジア、ヨーロッパ15都市を巡る個展『“MAYBE THIS” Christina Paik CP World Tour 3』を開催。東京では原宿のGR8にて6月1日から1週間の会期で行われ、フィルムカメラで撮影された13点の作品が飾られた。オープニングで来日した彼女にインタビューを敢行。これまでの経歴からヴァージル・アブローとのエピソードまで、豊かな黒髪に隠された素顔が明らかに。

ポートレイトアーティストとして服と向き合っているだけよ〟

 コム デ ギャルソンのジャケットにプラダのショーツ、足もとはコンバースと、ストリートとモードをミックスした装いで待ち合わせ場所に現れたクリスティーナは、トレードマークのサングラスをかけ、ミステリアスなオーラを振りまいている。まずはその知られざる経歴から尋ねることに。「小さい頃はフィギュアスケートに夢中で、週4回のトレーニングに励んで国体にも出たほどよ。けど、膝を壊してそれ以上続けることができなくなってしまったの。高校では同時に興味があったファインアートを学んだわ。彫刻とか絵画も好きだったけど、18歳でリチャード・アヴェドンの写真に出合って道が開けた感じね」。レジェンドの写真に魅せられた彼女は、パリにあるパーソンズ美術大学の姉妹校で写真を学ぶことを決意。さらにストリートフォトを得意とするアンリ・カルティエ=ブレッソンや、ゲイリー・ウィノグランドからも強い影響を受け、彼らのように自然光での撮影にこだわるようになっていく。そして、2011年に自身を被写体にして表現する『Self Portrait Series』をスタートさせる。
 「高校時代に学んだファインアートの要素を構図やポージングで取り入れているんだけど、第1弾を発表したら全然理解してもらえなかった(笑)。そこで、試行錯誤してファッションの側面を加えたら大成功したの!」。しばらくすると、お洒落な私服も話題となり、ルイ・ヴィトン、サカイ、アクネ ストゥディオズなどから衣装提供を受け、モードな表現が加速していった。作品のために好きなルックを選べる機会も増えたと言うが、ファッションフォトグラファーではないと胸を張る。
 「サポートしてもらってかなり感謝しているわ。けど、私の写真はコマーシャルではないの。あくまでポートレイトアーティストとして服と向き合っているだけよ」。

▼LOUIS VUITTON

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▼sacai

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▼Acne Studios

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 特に熱いラブコールを送るルイ・ヴィトンは、ランウェイに招待されたのが始まりだというが、ヴァージル・アブローとの交友関係が繋いだ縁なのではと予測する。


 「いきなりメッセージが届いて驚いたんだけど、きっかけを考えるとやっぱりヴァージルだと思うわ。オフ ホワイトのレディースは、立ち上げからルックやランウェイなどの撮影をしていて、それで私の存在を知ってくれる人が多いから。彼とは共通の友達がいて知り合ったんだけど、パイレックス ヴィジョンをブレイクさせた後に、ヘルムート ラングみたいな高級ラインをやりたいからヴィジュアルをお願いしたいって相談されたの。その数年後にはルイ・ヴィトンのメンズで活躍しているなんて本当に素晴らしいわよね!」。
 多くの若手クリエイターにフォーカスが当たるなか、クリスティーナが自身を特別だと思う点は、神秘性だと最後に教えてくれた。明け透けなインスタグラムの世界を逆手にとるようなアプローチで、コンセプトも告げず、黙々とセルフタイマーのシャッターを切る。決して派手ではないけれど、静かに彼女の感情を綴るかのような、想像をかき立てる自由な表現は観るものを惹きつけて止まない。

▼ALYX

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▼COMME des GARÇONS

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PHOTO_Christina Paik
TEXT&INTERVIEW_Ayana Takeuchi

information

Christina Paik

韓国系アメリカ人。オフホワイトのヴァージル・アブローに認められ、レディースコレクションのルックからキャンペーン、ランウェイ写真を手がける。自然光を使ったスナップ写真からポートレイトを切り取るのが得意。

「バンドのツアーグッズのような感覚で作った」という写真展のマーチャンダイズも見逃せない。GR8とはスペシャルにコラボレーションしたTシャツも登場。彼女をお手本にモードなアイテムと合わせてみて。