PERK

serch
LONDON2

Interview with Ayaka Endo
from PERK No.28 issue

スタイリスト、遠藤彩香さんに聞いた
今、ロンドンの街に私を超えるヒントがある

2018.10.22 art fashion interview magazine

ロンドンファッションウィークも終わり、少し寒くなってきた秋空の一日。
現在1年間限定で拠点をロンドンに移した
スタイリスト遠藤彩香さんにロンドンの魅力や今後のビジョンを聞いてきました。

スクリーンショット 2018-10-22 16.43.23

インプットの日々を楽しみながら
考える今後のビジョン

 ファッションウィークが終わった9月下旬、イーストロンドン・ハックニー地区で午後3時に待ち合わせをした。取材写真をロンドンらしい夕日で撮影したかったからだ。白いMM6のジャケットにヴィンテージのシャツ、赤いフレアパンツを履いた遠藤さんは、こっちに来て数ヶ月とは思えないほどこの街の空気感に馴染んでいた。

「行き当たりばったりの性格で、計画性とかないんですよ本当。そうゆうのって高校生から変わらなくて」と前置きをしつつ、遠藤さんにとってのロンドン、今後のビジョンについて語ってくれた。
「人生のやりたいことリストの中に“海外に住む”ということが入っていて、それにチェックを付ける感覚でロンドンに来ました。実は、ベルギーのアントワープも候補だったんですよ!アントワープアカデミーがあって、自分が好きなクリエーションが詰まった街なのでとても魅力を感じましたが、ロンドンを選んだのはやっぱり“人”。こっちには昔から友人のクリエーターが沢山いて、彼らの頑張っている姿、成長していく姿に感化されロンドンを選んだっていうのが一番大きいかもしれないですね。昔からコレクションを見に行ったり、撮影で訪れたりと海外に行くことは多かったのですが、住むってやっぱり違いますね(笑)。家探しだったり、生活するって色々あります。でもそういう日常生活からミックスカルチャーを肌で感じることができています。
 渡英する時に、スーツケース2個しか持っていかない!と決めて来たんです。数ある洋服の中からスーツケース2個分を厳選して持ってきました。自分にとって本当に何が必要で、何が大切なのか、削ぎ落とされた感じです。そのプロセスも私にとっては大きかったですね。
 ロンドンに来てまだ数ヵ月ですが、自分の中で少しずつ意識の変化も感じています。日本にいた頃は“ファッションってエネルギーだ”と思っていて、簡単に言ってしまえば“わかりやすいもの”が好きだったのかな?と思っています。でも今は“デザイナーのアイデンティティを感じられ、この先自分のヴィンテージになるか”という所が最も重要なポイントになりました。
 こっちで、あれもしたい!これもしたい!みたいな細かいことは特に決めてきてはいないのですが、日本に帰国した時のビジョンとして、アートディレクションも組めるようなスタイリストになりたいと思って渡英しました。あとは、もともと写真が好きで、ドローイングや建築を鑑賞するのも好きなのでそれを反映させた雑誌を作ってみたいなとも思っています。なので、美術館を訪れたり、美術館の鑑賞ツアーに参加して現地のボランティアの方々とお話ししてみたりと、イギリスの生活の中でカルチャーやアートの知識を日々吸収しています。11月にはNew Orderのライブを見に行くんです。こっちにいる間は、興味のあるものには時間を割いてでも足を運んでいますね」
 リスペクトできるクリエイターの仲間がいて、好きなアートに溢れている街、ロンドン。遠藤さんにとってこの街は、自分のクリエイティブを刺激する場所なのだ。良い意味で今までの概念をリセットし、新しいことを素直にインプットできる環境がロンドンにはあるのだろう。この号のテーマは“私を超える”。遠藤さんにとって私を超える道は、自分の気持ちに正直に“やりたい!”と思う好奇心を純粋に突き詰めた結果が新しい道へと繋げていってくれるようだ。自然に自分に湧き出たものに対して“ストイックで正直”になる。自分を信じ、可能性を広げている彼女の姿勢からは多くのものを学ぶことができた。
 ここから残すところ約9ヵ月のロンドン生活。来年の帰国後は、さらに磨きがかかった鋭い感性で日本のファッションシーンに新しい風を吹き込んでくれるに違いない。
スクリーンショット 2018-10-22 16.45.25

PHOTO_Greg Lia Jiajie

 

LONDON BEST SPOT FOR CREATION

美術館の入場料がタダだったり、現在建設中の地下鉄の各駅には草間彌生などのアート作品が飾られたり、ロンドンの生活にはアートが溢れている。そんなロンドンのクリエイティブなセンスが光るスポットを少しだけご紹介。

The-Hepworth-Wakefield01

The-Hepworth-Wakefield02

browns east

ロンドン市内から電車で約2時間、ウェストヨークシャーの水辺に位置する美術館。「ここは2017年にジョナサン・アンダーソンの“Disobedient Bodie”(不従順な身体)というエキシビジョンが行われた場所です。周辺には、ヨークシャー・スカルプチャー・パークもあって1日中アートを楽しむことのできる街です」。

 

スクリーンショット 2018-10-22 16.44.49

スクリーンショット 2018-10-22 16.44.33

browns east

老舗セレクトショップBROWNSのイースト支店。インスタレーションなども開催され、買い物だけではない未来のブティックのあり方を提案している。「イーストロンドンの騒がしい場所にお店があるんですが、ハイブランドが普通に並んでいるのがツボ。ハイブランドから若手ブランドまでフラットな目線のセレクトが魅力ですね」。

 

スクリーンショット 2018-10-22 16.43.47

スクリーンショット 2018-10-22 16.44.02

nts radio

ロンドン・ハックニーを基地に世界中に音楽を配信するラジオ局のNTS、定期的にイベントも開催しているのでロンドンに来る際には要チェック。「NTSとBoiler Roomはやっぱり安定感がありますね。ニック・ナイトの運営するShow Studioなんかも見ますよ。綺麗な英語が聞けていいんですよ。」ファッションを通して英語を勉強したい方にもおすすめ。

 
TEXT_Saori Yoshida

information

遠藤彩香
profile
1982年生まれ、宮城県仙台市出身。
ショップ店員を経てスタイリストMORIYASU氏のアシスタントに。
2009年に独立後は、国内外のハイファッション誌を中心に活躍。
独特な感性と、アートへの高い知識で作るエディトリアルが魅力。